ポンコツエンジニアの読書記録。

30代のポンコツプラントエンジニアです。読書記録をつけることで、知識の定着を目論んでいます。

#3 サピエンス全史 上下;人間の創造

ビジネス書大賞 大賞受賞作品です。

大賞を受賞するだけあって、上下巻の長さにも関わらず一気読みできてしまいます。

 

終始テーマとして、「人間は何から創造し行動してきたか

狩猟時代は、サピエンスが勢力を強てめいない頃、そこには、ネアンデルタール人など他の属が存在していた。しかし、ここで、新世代のサピエンスが頭角を表したか。

およそ七万年前に獲得した新しい言語技術のおかげで、何時間も続けて噂話ができるようになった。誰が信頼できるかについて確かな情報があれば、小さな集団は大きな集団へと拡張でき、サピエンスはより緊密でより精緻な種類の協力関係を築き上げられた。(上巻p38)

私たちの言語が持つ真に比類ない特徴は、人間やライオンについての情報を伝達する能力ではない。むしろそれは、全く存在しないものについての情報を伝達する能力だ。見たことも、触れたことも、匂いを嗅いだこともない、ありとあらゆる種類の存在について話す能力があるのは、私たちの知るかぎりでは、サピエンスだけだ。(上巻p39)

人間が頭角を現したのは、言語技術の発展特に空想を語る力のようです。七万年前から培われた能力とは。

そんな、ホモ・サピエンスは次第に、狩猟から農耕へと移行し、農業革命を起こします。

農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。では、それは誰の責任だったのか?王のせいでもなければ、聖職者や商人のせいでもない。犯人は小麦、稲、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモ・サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。(上巻p107)

この発想はなかったです。目からウロコ。人間は実は世界を支配しているようで、支配されている。その後こう記載あります。

やがて小麦の栽培にしだいに多くの労力を注ぎ込み始めた。2,000年ほどのうちに、人類は世界の多くの地域で、朝から晩までほとんど小麦の世話ばかりを焼いて過ごすようになっていた。(上巻p108)

栽培化や家畜化を表す「domesticate」という英語は、ラテン語で「家」を意味する「domus」という単語に由来する。では、家に住んでいるのは誰か?小麦ではない。サピエンスほかならないではないか。(上巻p109)

これは、現代社会も同様にコンピュータのメンテナンス、機械メンテナンスに通じるものがあると思います。より良い生活を望み行ったことが、実は自分たちの時間と労力を注ぎ込む形になり本末転倒な点。domesticateの下りは感心しました。

その後、サピエンスはさらに多くのものを創造し実現していきます。

そのなかで、後半のメインを占める科学の発展と影響は読み応えがあります。

近代の文化は、まだ知られていない重要な事柄が多数あることを認め、そのような無知の自認が、科学の発見は私たちに新しい力を与えうるという考え方と結びついたとき、真の進歩はけっきょく可能なのではないかと人々は思い始めた。解決不可能のはずの問題を科学が一つまた一つと解決し始めると、人類は新しい知識を応用することで、どんな問題もすべて克服できると、多くの人が確信を持ち出した。貧困や病気、戦争、飢饉、老齢、死そのものさえもが、みな、私たちの無知の産物にすぎなかったのだ。 (下巻p76)

 この考えから爆発的に進歩していきます。

探検、実験、細菌、家畜、内燃機関、汽力、原子力と興味が赴いたまま創造の果てをみすえて研究がすすみ、投資家が資金をつぎ込む。

このサイクルで現代社会が発展した数々の事例を紹介しています。

確かにそうですね。我々が仕事としているものは、いずれかの創造の上で生活しており、多くの人間が科学革命の上で生活をし、そこで発生した不具合の解決を望んでいます。その望みの多くは現状をより良くしたいという、七万年前の人類と同じ思いのはずです。程度は違えど。

では、この不具合の解決はどこに向かえばいいのか?について言及しています。

多数ある不具合への対策は解決するまで研究することですが、ここには、政治的、時間的、生産的など様々なInputが入り決定されます。

この問題に対して著者は、

唯一私たちに試みられるのは、科学が進もうとしている方向に影響をを与えることだ。私たちが自分の欲望を操作できるようになる日は近いかもしれないので、ひょっとすると、私たちが直面している真の疑問は、「私たちは何になりたいのか?」ではなく、「私たちは何を望みたいのか?」かもしれない。この疑問に思わず頭を抱えない人は、おそらくまだ、それについて十分考えていないのだろう 。(下巻p263)

 と締めています。

頭を抱えないというよりも、望みに対して何をという問いをしたことが無かったです。

だって、不具合に対する望みしかしてこなかったから。

仮に何も無かったら、何を望むのだろう。

ちょっと考えて行動してみます。

 

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福