#12 欧州先進事例に学ぶデジタル時代の電力イノベーション戦略;衰退する火力のヒントとなるか
電力事業に関わる身として、現在の状況を勉強したくて購入してみました。
特に火力はパリ協定による影響で、逆風の最中ですが、プラントエンジニアとして
何ができるか考える上でも、先端事例を知識として取り入れておくのは重要だと思います。
さて、この本が想定している読者は「既存エネルギー企業において新規ビジネス開発を担当する方」と「IoT やビッグデータ解析、AI、RPA等のデジタル技術やノウハウを保有する 異業種の方」を想定しています。互いの知識が乏しい中、お互いの知識を保管するための本です。
情報通信工学の分野から発電プラントエンジニアリング企業に就職した私にとっては非常に面白くワクワクするテーマでした。
IoTやAIが発送電に加わると何が起こるの?という問いに、顧客中心のビジネスモデル になる。と回答しています。今まで、受け取る一方だった電気をそちらで選ぶ事ができますよー。ってなるわけです。本書ではたくさんのビジネスモデルが紹介されています。
じゃあ、私たちが電気を選ぶとどういったメリットがあるの?ってことで以下、
1.ガス会社が供給している電気を買ったら、ガス代とセットで安くなったり。
2.AIを用いて、現在最も安い電気を卸している会社に勝手に切り替えてくれたり。
3.家電を貸してくれて、その消費指数を数値化し無駄を教えてくれたり。
電気にまつわるいろんなサービスがセットになって私たちに供給されるわけです。
これは、スマホを乗り換えたら実質タダ!みたいなキャンペーン(電波の乗り換えと端末のセット)やお菓子を買ったらおまけ付き!(お菓子とおもちゃのセット)みたいに消費者主体で電気を選ぶわけです。選ぶときの基準って人それぞれで、安さ重視の人、品質重視の人、環境重視の人などいますが、こういった消費者一人一人が選べる事が覇権を握りそうな気がします。
個人的には、goole mapみたいなものから今供給されている発電所一覧が表示されて、各発電所のメリット/デメリットをみながら消費者が発電所単位で電気を変えたら楽しいなって思います。
安さ重視の人はソーラーみたいな、安いが、天候に左右されて供給量が一定でなかったり(実際にはそうはいかないので、高い電気に切り替わるはずですが。)、品質重視の人は安定した火力発電所から選んだり!環境重視の人は風力発電所から選んだりとしていけば、消費者の指向性や各発電所単位の競争力も生まれるはずです。うちを選んでくれたら、intakeで取れたサバをプレゼント!みたになったら面白いなって思いました。
まだまだ始まったばかりの送電分離。いきなり選ぶ側に立つなんて、何を選んでいいかわからないですが、ちょっとづつデジタルネイティブ世代が台頭してくれば、今以上に電気を選ぶということが、一般的になってくると思います。楽しみです。