ポンコツエンジニアの読書記録。

30代のポンコツプラントエンジニアです。読書記録をつけることで、知識の定着を目論んでいます。

#22 コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった;たかが箱されど箱

Texas の田舎 Eagle pass(イーグルパス)に住んでいると、近傍の大都市 San Antonio(サンアントニオ)に向けてフリーウェイをとてつもなくデカイコンテナを積んだトラックを目にします。コンテナってメリットあるのかなーなんて考えてたそんな時、アマゾンで偶然安売りされてたこの本。運命です。

コンテナができた経緯、規格争いの一部始終、最も普及した出来事、未来と一通り学ぶことができます。

驚いたことはコンテナ自体のアイディアは昔からあったということ。有効性は分かっていたものの、「習慣」と「実行力」が原因でなかなか浸透していませんでした。 

 

コンテナが発達する前は、物を港から発送する場合、全輸送費の48%以上は荷役と付帯作業に割かれていました。港に着いた荷物は人によって誘導され、人によって荷降ろしされ、積まれ。すべて人力の作業。これが当たり前であり、誰も 検討しなかった。

これをコンテナビジネスをスタートさせ、世界中に広めたマクリーンは「輸送コストに必要なのは単に金属製の箱ではなく、貨物を扱う新しいシステムなのだということをマクリーンは理解していた」と書いています。

今までの習慣をいかに懐疑的に見るか。その打破する方法を検討。単発のアイディアではなく、システムとして、港、船、クレーン、倉庫と考える事で、輸送コストの大胆な削減に乗り出しています。

恐らく、ここまでは誰もが思いつくアイディアだと思いますが、この仕組みを作り上げるため土地の選定から輸送方法まで非常に緻密にかつ運も味方しながら強引に進めています。本当にこの実行力の強さは感心しました。

最終的にはこのマクリーンが作った会社は高度化した船に圧倒されて倒産してしまいますが、マクリーンの葬儀の朝には世界中のコンテナ船が汽笛を吹鳴して弔意をあわらしているという一文で、経済を一歩前進させた男のすごさが伝わりました。

 

今、私が携わる電力ビジネスは、昔からあるシステムの上に成り立っており、コンテナが誕生する前の港と同じ状態だと思います。そこへ、再生エネルギーの台頭、原発ビジネスの頓挫と既存のエネルギーに一石を投じる動きが活発になっており、新しいシステムが誕生するのは時間の問題なのではなかと強く感じています。

経済史家ジョエル・モキルの「あらゆる変化は誰かをより幸福にし、その分ほかの誰かを不幸にする」といっています。

コンテナ物語でも、労働者の一斉解雇、賃金に低下が問題となった事が挙げられていましたが、変化に十分に対応して、幸福側(享受側)のプレーヤーとして一線に居たいです。そのためには、新しい情報への嗅覚と既存システムへの疑問を強く持ちながら生活しようと思いました。

 

 

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった